2009/04/27

YouTube × Music

音楽ビジネスモデルの問題がまた浮き彫りに。
Rickrollingを知っていますか?
リックロールは、ネットで流行しているいたずらの一種。別のトピックに関するウェブリンクと偽り、実際にクリックするとイギリスのポップ歌手Rick Astleyが1987年に発表した楽曲『Never Gonna Give You Up』(ギヴ・ユー・アップ)のビデオが流れるというもの。このいたずらは、英語圏向け掲示板サイト『4chan』から生まれたいたずらで、有名人などの関連リンクと偽り、足が車輪になったカモの画像を表示する「ダックロール」(duckroll)から派生したもので、歌手の名前にちなみ「リックロール」(Rickroll)と呼ばれる。また、公共の場でこの楽曲を大音量で流す一種の妨害行為を指すこともある。
流行っていた頃、ぶっちゃけ何回か引っかかったことあります。予期せぬときに流れるあの曲は、いたずら目的をちゃんと担っていて、しっかりムカつきます。(笑)それで、一時期ネット上でちょっとした流行になったこの曲は、YouTubeで1億5千万回以上も再生された。凄い数ですよ、これは。きっと印税額も相当だったんだろうな、と思うところなんですが、それがなんとたったの11£(約¥1600)だったそうです。契約上、正当な額ではあったらしい。どんなサービスでも供給が無限だと価格はゼロになります。これが今の録音音楽の現実に近いです。 正直、制作者の立場的にちょっと複雑な思いです。

今世界で人気急騰中のイギリスのテレビ番組"Britain's Got Talent"出身のスーザン・ボイルさんに至っては、約4千万〜1億回YouTube上でビデオが再生され、収入はゼロだったそう。原因は放送局(ITV)とYouTubeがビデオに載せる広告の種類に合意出来なかったから。ボイルさんのような新人アーティストのみならず、YouTubeはかなり有益なポロモーションツールであることは間違いない。 YouTubeなくては、今の人気もなかったかもしれない。
でも、仮説議論ではなくて、まず事実を。ボイルさんの人気からITVは番組のライセンス権利を世界中に売り、CDの売り上げのマージンまで取り大儲けする。イギリス国内では、番組の視聴率も上がり、広告収入ももちろん上がる。ボイルさんの映画なんかできたら、また番組、放送局にお金が入る。YouTubeビデオ再生(再生のみ)で全く収入がなかったのは、本人、ボイルさんだけ。
ちなみに、googleはYouTubeで毎日130万ドル損している。私たちが、こんなビデオをいつでも見れるために、年間5億ドル近い損失ですよ。それで、レコード会社からミュージックビデオ再生のロイヤリティを迫られても、たまらんですよ。どうせ必要不可欠なプロモーションだとわかっているから、もちろん要求通りは(まだ)支払わずに済んでいる。それで結局アーティストはまた損する。
最終的に誰が勝者かというと、今のところ一般ユーザーですかね。なんせ無料でいつでもなんでも見たり聞いたりできるわけですから。Web2.0の進化のスピードが早過ぎて、音楽ビジネスモデルが歪みまくってます。どこかで修正されないと、今の日本社会みたくアーティストもリベタリアン思考になって、レコード会社などの従来の機関離れは加速する一方だろう。

Susan Boyle (Britain's Got Talent 2009)
http://www.youtube.com/watch?v=1t8m7CkpIK0

2 件のコメント:

  1. 「こんなビデオ」最高w

    tshfkymの笑いのツボがイイ!
    しかもしっかりしたこと書いているし。。

    このブログが習慣の一つになってしまいました。
    急にやめられたら…

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  2. k太さん>あのビデオおかしすぎですよね。こういう時以外に使い方が思い当たらないというか(笑)ブログ、読んでいただいてかなりうれしいです!これからもバシバシコメントお願いします!

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